リモートワーク時代の週次報告会を効率化 デジタルツール活用のステップ
リモートワークにおける週次報告会の課題
パンデミック以降、リモートワークが普及し、働き方は大きく変化しました。多くの企業で、週に一度の定例報告会、いわゆる週次報告会もオンラインで開催されるようになっています。オンラインでの週次報告会は、場所を選ばずに参加できるというメリットがある一方で、対面で行っていた時とは異なる難しさも抱えています。
例えば、参加者全員が同時に発言することが難しかったり、非言語情報が伝わりにくかったりするため、情報共有に時間がかかることがあります。また、資料の配布や確認に手間取ったり、議事録の作成・共有が遅れたりするなど、運営側の負担が増えるケースも少なくありません。このような課題を解決し、週次報告会をより有益なものにするために、デジタルツールの活用が有効です。
デジタルツールで週次報告会をどう効率化するか
週次報告会を効率化するためには、会議の「前」「中」「後」の各段階でデジタルツールを適切に活用することが重要です。単にオンラインで集まるだけでなく、ツールの機能を活用することで、情報共有をスムーズにし、会議の時間を有効に使い、決定事項の実行を促進することができます。
具体的には、以下のような目的でデジタルツールが役立ちます。
- 報告内容の事前共有: 会議時間中に全員が報告するのではなく、事前に内容を共有しておくことで、会議は確認や議論に集中できます。
- 会議中の円滑な情報共有: 資料を簡単に共有したり、参加者全員が必要な情報にアクセスできるようにしたりします。
- 議事録作成と決定事項の明確化: 会議中のやり取りを記録し、決定事項や次のアクション(ToDo)を明確にして共有します。
- 報告後の進捗フォローアップ: 会議で決まったことや割り当てられたタスクの進捗を継続的に管理します。
これらの目的を達成するために、既存のデジタルツール、例えばドキュメント共有ツール、タスク管理ツール、ビジネスチャット、Web会議ツールなどを連携させて活用することが一般的です。
週次報告会を効率化するデジタルツール活用のステップ
ここでは、デジタルツールを活用して週次報告会を効率化するための具体的なステップをご紹介します。デジタルツールに不慣れな方も、一つずつ段階を踏んで取り組むことで、導入を進めることができます。
ステップ1:報告事項の事前準備と共有
週次報告会で発表される内容を、会議前に共有しておくことから始めます。
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活用ツール: ドキュメント共有ツール(例: Google Drive, OneDrive, SharePointなど)、タスク管理ツール(例: Trello, Asana, Microsoft Plannerなど)、ビジネスチャット(例: Slack, Microsoft Teamsなど)
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具体的な進め方:
- 報告フォーマットを統一する: 報告に必要な項目(例: 期間内の主な活動、成果、課題、次週の予定など)を事前に決め、テンプレートを作成します。ドキュメント共有ツール上にテンプレートを置いておくと、全員が同じフォーマットで報告を作成できます。
- 各担当者が報告内容を作成する: 各担当者は、テンプレートを使って報告内容を作成し、ドキュメント共有ツール上の共有フォルダに保存します。
- 報告内容を事前に確認する: 会議参加者は、会議の前日までに共有された報告内容を確認しておきます。これにより、会議当日は内容の読み上げではなく、質問や議論に時間を割くことができます。
- タスク管理ツールとの連携: もしタスク管理ツールを使用している場合は、報告内容に関連するタスクの状況(完了したか、遅延しているかなど)を報告書に含めたり、報告書から該当タスクへのリンクを貼ったりすることで、より具体的な状況共有が可能になります。
- ビジネスチャットでのリマインダー: 会議前日などに、ビジネスチャットで「報告書の提出と事前確認をお願いします」といったリマインダーを送ることで、参加者の協力を促せます。
ステップ2:Web会議での報告と議論
事前共有した内容を踏まえ、Web会議を行います。
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活用ツール: Web会議ツール(例: Zoom, Microsoft Teams, Google Meetなど)
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具体的な進め方:
- 短い時間で要点を報告: 事前共有した報告内容について、担当者は要点をまとめて簡潔に報告します。詳細は資料を確認してもらう形にします。
- 質疑応答と議論に時間を割く: 報告内容について不明な点や、課題に対する解決策など、参加者間で議論が必要な部分に時間を充てます。
- 画面共有の活用: 必要に応じて、報告資料や関連するデータなどを画面共有して説明します。操作方法が簡単なWeb会議ツールを選ぶと、誰でもスムーズに画面共有を行えます。
- チャット機能の活用: 会議中に質問や補足事項があれば、チャット機能を使ってもらうように促します。これにより、報告者の話を遮ることなく、質問を書き留めておくことができます。会議の最後にまとめて質問に答えるなどの運用が考えられます。
ステップ3:議事録作成と決定事項・ToDoの共有
会議中の決定事項や、次にとるべきアクションを明確にして共有します。
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活用ツール: ドキュメント共有ツール、タスク管理ツール
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具体的な進め方:
- 議事録を作成する: 会議中に書記担当者が議事録を作成するか、Web会議ツールの録画機能を活用し、後から議事録を作成します。決定事項、担当者、期日を明確に記録することが重要です。議事録はドキュメント共有ツール上で作成・保存し、参加者がいつでも確認できるようにします。
- 決定事項とToDoをリスト化する: 議事録から、会議で決定されたことと、それに基づいて誰が何をいつまでに行うか(ToDo)をリストアップします。
- タスク管理ツールに登録する: リストアップしたToDoを、タスク管理ツールに登録します。担当者、期日、関連資料へのリンクなどを設定することで、各担当者が自分のタスクを把握し、進捗を管理しやすくなります。
- 参加者への通知: 議事録とToDoリスト(タスク管理ツールへのリンクなど)を、ビジネスチャットなどで参加者全員に通知します。
ステップ4:報告後の進捗フォローアップ
会議で決まったタスクの進捗を継続的に確認します。
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活用ツール: タスク管理ツール、ビジネスチャット
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具体的な進め方:
- タスク管理ツールでの進捗確認: 各担当者は、タスク管理ツール上で自分のタスクの状況を更新します。管理者はツール上で全体の進捗状況を把握できます。
- ビジネスチャットでの確認・サポート: 期限が近いタスクや、進捗が滞っているタスクがあれば、ビジネスチャットで担当者に状況を確認したり、必要なサポートを提供したりします。週次報告会まで待たずに、タイムリーな対応が可能になります。
- 次週の報告準備へ: タスク管理ツールで進捗を管理することで、次回の週次報告会で報告すべき内容(完了したタスク、継続中のタスク、発生した課題など)をスムーズに整理できます。
デジタルツール活用を定着させるためのポイント
週次報告会でのデジタルツール活用を成功させ、チームに定着させるためには、いくつかのポイントがあります。
- 小さく始めてみる: 一度に全てのツールやステップを導入するのではなく、まずは報告書の事前共有から始めるなど、無理のない範囲で試してみることをお勧めします。
- チームでルールを決める: どのツールを使い、どのような手順で報告や情報共有を行うかなど、チーム内で共通のルールを決め、全員がそれに従うようにします。ルールの目的(例: 会議時間の短縮、情報共有の円滑化)を共有することも大切です。
- 操作に慣れる機会を設ける: 新しいツールの操作に不安を感じるメンバーがいるかもしれません。簡単な操作研修を行ったり、質問しやすい環境を作ったりするなど、皆が安心してツールを使えるように配慮します。
- セキュリティに配慮する: 報告内容には機密情報が含まれる場合もあります。利用するツールのセキュリティ機能を確認し、アクセス権限の設定を適切に行うなど、情報漏洩を防ぐ対策を講じることが重要です。
まとめ
リモートワーク環境での週次報告会は、デジタルツールを効果的に活用することで、対面で行っていた頃よりも効率的で生産性の高い場に変えることが可能です。報告の事前共有、Web会議中の工夫、議事録とToDoの明確化、そして事後の進捗フォローアップといった一連の流れでツールを連携させることで、情報共有の質を高め、チーム全体の連携を強化することができます。
新しいツールの導入や既存ツールの使い方変更には、多少の慣れが必要です。しかし、ご紹介したステップを参考に、一つずつ取り組み、チームで協力しながら進めていくことで、リモートワークにおける週次報告会の課題を克服し、よりスムーズで効果的なチーム運営を実現できるものと考えられます。