リモートワークでチームの目標を見える化 デジタルツール活用で進捗管理をスムーズに
リモートワークでの目標設定と進捗管理の課題
パンデミック以降、リモートワークが広まり、働く場所が分散する中で、チームとしての目標を共有し、日々の進捗を把握することに難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。オフィスで顔を合わせれば、自然と生まれる情報交換や、ホワイトボードで共有されていた目標・進捗状況が、リモートワークでは難しくなります。
「チームのメンバーがそれぞれ何を目指して仕事を進めているのか分かりにくい」「プロジェクト全体の進捗が把握しづらい」「期末の評価時期になって、初めてチームや個人の達成度が見えてくる」といった課題は、リモートワークにおけるチーム連携や生産性低下の原因となることがあります。
このような状況を改善し、チーム一丸となって目標達成を目指すためには、デジタルツールの活用が有効な手段となります。本記事では、デジタルツールを使ってチームの目標を見える化し、進捗管理をスムーズに進めるための基本的な考え方と、具体的なツールの活用方法について解説します。
デジタルツール活用のメリット
デジタルツールを活用することで、リモートワークにおける目標設定と進捗管理において、以下のようなメリットが得られます。
- 目標の明確化と共有: チームや個人の目標をツールに入力し、メンバー全員がいつでも確認できるようにすることで、「何を目指しているのか」が明確になります。共通認識を持つことができ、方向性のずれを防ぎます。
- 進捗の見える化: 各メンバーが担当するタスクや活動の進捗状況をツール上で更新することで、全体の進捗状況が一目で分かります。遅れている部分や、サポートが必要なメンバーを早期に発見できます。
- コミュニケーションの円滑化: 目標やタスクに関連するコミュニケーションをツール上で行うことで、情報が整理され、後から確認しやすくなります。メールのやり取りに比べて、必要な情報に素早くアクセスできます。
- 業務効率の向上: 進捗報告のための会議や個別確認の時間を減らし、本質的な業務に集中できるようになります。また、タスクの抜け漏れ防止にも繋がります。
- 評価の適正化: 設定した目標と、それに対する具体的な進捗や成果がツール上に記録されるため、期末の評価において客観的な情報に基づいた判断がしやすくなります。
目標管理に役立つデジタルツールの種類と基本機能
目標設定や進捗管理に特化したツールだけでなく、様々なデジタルツールがこれらの機能を備えています。初心者の方でも取り組みやすい代表的なツールのタイプと、共通して備わっている基本的な機能をご紹介します。
主に以下の3つのタイプのツールが目標・進捗管理に役立ちます。
- タスク管理ツール: 個人のタスク管理に加え、チームで共有するタスクリストを作成し、担当者、期限、進捗状況などを管理できるツールです。多くのツールが目標達成に向けた具体的な行動(タスク)を管理するのに適しています。
- 例:Trello, Asana, Microsoft Plannerなど
- プロジェクト管理ツール: より複雑なプロジェクトの目標設定、タスクの分解、スケジュール管理、リソース管理、進捗追跡などができる多機能なツールです。
- 例:Asana, Backlog, Wrikeなど
- 目標管理(OKR/KPI)ツール: OKR(Objectives and Key Results)やKPI(Key Performance Indicators)といった目標管理の手法をシステム上で実現するための専用ツールです。組織全体の目標から個人の目標までをツリー構造で管理し、進捗を追跡することに特化しています。
- 例:Workboard, BetterWorksなど(中小企業向けにはタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールで代替することも多い)
これらのツールに共通する基本的な機能としては、以下のようなものが挙げられます。
- 目標/タスクの登録: 達成したい目標や、それに向けて行うべき具体的なタスクを入力する機能です。
- 担当者と期限の設定: 目標やタスクを誰が、いつまでに完了させるのかを設定できます。
- 進捗状況の更新: 「未着手」「進行中」「完了」といったステータスや、パーセンテージなどで進捗を記録できます。
- コメント機能: 目標やタスクについて、メンバー間でコミュニケーションを取るための機能です。質問や情報共有に使います。
- ファイル添付機能: 目標やタスクに関連する資料やファイルを添付できます。
- 一覧表示/絞り込み: 設定した目標やタスクをリスト形式やカンバン形式などで一覧表示し、担当者や期限などで絞り込んで確認できます。
デジタルツールを使った目標・進捗管理のやさしい始め方
いきなり高機能なツールを導入する必要はありません。まずはチームにとって最も取り組みやすいツールを選び、シンプルな形で始めてみることが大切です。ここでは、多くのタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールで共通する、目標・進捗管理の基本的なステップをご紹介します。
ステップ1: チームの大きな目標を設定する
ツール上に、チームとして達成したい大きな目標(例: 「〇〇プロジェクトを期日までに完了させる」「顧客満足度を〇%向上させる」など)を登録します。これを最上位の項目とします。
ステップ2: 目標達成のための具体的な行動(タスク)に分解する
設定した大きな目標を達成するために、具体的に何をすれば良いのかを考え、一つ一つの「タスク」として洗い出します。例えば、「〇〇プロジェクトを期日までに完了させる」という目標であれば、「要件定義書を作成する」「デザイン案を決定する」「開発環境を構築する」といった具体的なタスクをリストアップします。
ステップ3: 各タスクの担当者と期限を決める
洗い出したタスクごとに、誰が担当するのか、いつまでに完了させるのかを決め、ツール上で設定します。担当者と期限を明確にすることで、責任の所在がはっきりし、計画的に進めることができます。
ステップ4: 定期的に進捗状況を更新する
各メンバーは、担当するタスクの進捗状況を定期的にツール上で更新します。毎日、または週に一度など、チームでルールを決めて取り組みます。「進行中」「完了」といったステータスを変更したり、具体的な進捗率(例: 50%完了)を入力したりします。
ステップ5: ツール上で進捗を確認し、コミュニケーションを取る
チームリーダーやメンバーは、ツールを開いて全体の進捗状況を確認します。遅れが出ているタスクや、不明点があるタスクについて、ツール上のコメント機能を使って担当者に質問したり、必要なサポートを提案したりします。進捗会議なども、ツール上で共有されている情報を基に行うことで、効率化できます。
セキュリティと運用上の注意点
デジタルツールを活用する上で、セキュリティは重要な考慮事項です。機密情報を含む目標や進捗状況を扱う場合、ツールのセキュリティ対策(アクセス制限、データ暗号化など)を確認し、会社のセキュリティポリシーに沿ったものを選びましょう。また、二段階認証の設定など、利用できるセキュリティ機能は積極的に活用してください。
また、ツールを導入するだけでは効果は得られません。チーム全員がツールを使う習慣をつけ、定期的に目標や進捗状況を確認・更新することが重要です。ツールの操作に不安があるメンバーがいれば、丁寧にサポートし、チーム全体でデジタルツールの活用レベルを高めていく努力が必要です。
まとめ
リモートワーク環境下でのチームの目標設定と進捗管理は、適切なデジタルツールを活用することで、大きく改善できます。目標の見える化、進捗の把握、コミュニケーションの円滑化といったメリットを享受し、チームの生産性を向上させることが可能です。
まずは、チームの状況や目的に合ったツールを選び、シンプルな機能から試してみてはいかがでしょうか。今回ご紹介した基本的なステップを参考に、デジタルツールを使った目標・進捗管理をチームの新しい習慣として取り入れてみてください。