デジタルツール初心者向け リモートワークで安心して働くための情報セキュリティ基本
はじめに
パンデミックを経て、私たちの働き方は大きく変化しました。オフィスだけでなく、自宅など様々な場所で仕事をするリモートワークが広がり、デジタルツールを使ったチーム連携や情報共有が不可欠になっています。
新しい働き方にはメリットも多い一方で、「情報セキュリティ」について不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。特にデジタルツールにあまり慣れていない場合、どのような点に注意すれば良いのか、何から始めれば良いのか迷うこともあるでしょう。
このブログ記事では、リモートワークを安心して行うために知っておきたい情報セキュリティの基本的な考え方と、デジタルツール初心者の方でもすぐに実践できる対策を分かりやすくご紹介します。難しい専門知識は不要です。日々の仕事の中で少し意識するだけで、大切な情報を守ることにつながります。
なぜリモートワークでは情報セキュリティが大切なのでしょうか
オフィスで働いているときは、会社の建物という物理的な守りがあり、情報システム部門の方がセキュリティ対策をしっかりと行ってくれています。しかし、リモートワークでは、自宅のネットワークを使ったり、会社の外で会社のデータにアクセスしたりする機会が増えます。これにより、情報が危険にさらされるリスクが高まる可能性があるのです。
たとえば、次のようなリスクが考えられます。
- 不正アクセス: 会社のシステムやデータに、許可されていない人が勝手に侵入しようとすることです。
- 情報漏洩: 会社の機密情報やお客様の個人情報などが、外部に漏れてしまうことです。これは、誤ってデータを送ってしまう、パソコンを紛失する、悪意のある第三者によって盗まれるなど、様々な原因で起こり得ます。
- マルウェア感染: コンピューターウイルスのような悪意のあるソフトウェア(マルウェア)に感染し、データが破壊されたり、情報が盗まれたりすることです。
- フィッシング詐欺: 本物そっくりのメールやウェブサイトを使って、パスワードやクレジットカード情報などをだまし取る詐欺です。
これらのリスクから大切な情報を守り、安心してリモートワークを続けるために、一人ひとりが情報セキュリティに対する意識を持ち、基本的な対策を行うことが非常に重要になります。
デジタルツール初心者のための情報セキュリティ基本対策
ここでは、デジタルツールに不慣れな方でも今日から実践できる、情報セキュリティの基本的な対策をステップごとにご紹介します。
ステップ1:パスワードを強化し、しっかり管理する
パスワードは、あなたのデジタルな鍵です。この鍵が簡単に見破られてしまうと、不正アクセスのリスクが高まります。
- 複雑なパスワードを使う: 生年月日や電話番号など、推測されやすいパスワードは避けましょう。英字の大文字・小文字、数字、記号を組み合わせた、8文字以上のパスワードが推奨されます。例えば、「password123」よりも「P@sswOrd!789」のように複雑にするということです。
- 使い回しをしない: 複数のサービスで同じパスワードを使うのは大変危険です。もし、どれか一つのサービスからパスワードが漏れてしまった場合、他のサービスも簡単に不正アクセスされてしまう可能性があるためです。サービスごとに異なるパスワードを設定しましょう。
- パスワード管理ツールを利用する(推奨): 覚えるのが大変な場合は、パスワードを安全に管理できる専用のツール(パスワードマネージャー)の利用を検討しましょう。これにより、複雑なパスワードをサービスごとに設定しやすくなります。
ステップ2:二段階認証や多要素認証を設定する
二段階認証や多要素認証は、パスワードだけでなく、もう一つ別の方法で本人確認を行う仕組みです。たとえば、パスワードを入力した後、スマートフォンのアプリに送られてくるコードの入力や、指紋認証などを求められるといったものです。
これにより、万が一パスワードが漏れてしまっても、あなた本人でなければログインできないようにすることができます。会社のシステムや重要なサービスでは、必ず設定するようにしましょう。設定方法はサービスによって異なりますが、ログイン設定やセキュリティ設定の項目にあることが多いです。
ステップ3:OSやソフトウェアを常に最新の状態にする
お使いのパソコンやスマートフォンの基本ソフト(OS)や、利用している様々なソフトウェア(Webブラウザやビジネスツールなど)は、常に最新の状態に保つことが非常に重要です。
ソフトウェアの更新には、新しい機能の追加だけでなく、「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と呼ばれるセキュリティ上の弱点をなくすための修正が含まれていることがよくあります。この脆弱性が放置されていると、悪意のある第三者にそこを突かれて不正侵入や情報漏洩の原因となることがあります。
OSやソフトウェアの自動更新機能を有効にしておくことを推奨します。更新の通知が来たら、面倒がらずに適用するように心がけましょう。
ステップ4:怪しいメールやウェブサイトに注意する
インターネットの世界には、あなたの情報や会社の情報を狙う悪い人たちが潜んでいます。特に注意が必要なのは、フィッシング詐欺のような手口です。
- メールの送信元を確認する: 知らない相手からのメールや、普段やり取りのない会社からのメールには注意が必要です。送信元のメールアドレスをよく確認しましょう。
- 安易にリンクをクリックしない: メール本文中のリンクは、クリックする前にリンク先のアドレスが正しいか確認しましょう。怪しいと感じたらクリックせず、公式のウェブサイトを別途ブラウザで開いてアクセスするのが安全です。
- 個人情報やパスワードの入力を求められたら警戒する: メールやSMSで、パスワードや個人情報の入力を直接求められることは、ほとんどありません。もしそのような要求があれば、詐欺を疑い、絶対に入力しないようにしましょう。
ステップ5:会社のルールを守り、情報を適切に扱う
リモートワークでは、会社の外で会社の情報を取り扱うことになります。会社の情報セキュリティに関する規定やマニュアルがある場合は、その内容をよく理解し、従うことが基本です。
- 会社の許可なく会社の情報を個人のクラウドサービスに保存しない: 会社の情報は、会社が契約している安全なツールを使って共有・保存しましょう。
- 業務用デバイス以外で会社の情報を取り扱わない(会社の指示に従う): 個人のパソコンやスマートフォンで会社の重要な情報を取り扱うことは、情報漏洩のリスクを高める可能性があります。会社のルールを確認し、定められたデバイスを使用しましょう。
- 離席時はパソコン画面をロックする: 短時間でも席を離れる際は、必ずパソコンの画面をロックする習慣をつけましょう。これにより、第三者による覗き見や不正操作を防ぐことができます。
- 情報を物理的に安全に管理する: 紙の資料や会社の支給品なども、自宅で安全に保管しましょう。
ステップ6:自宅のWi-Fi環境を確認する
自宅でインターネットに接続する際に使うWi-Fiも、セキュリティ対策が必要です。
- Wi-Fiルーターのパスワードを設定する: 初期設定のパスワードではなく、推測されにくい独自のパスワードを設定しましょう。
- 暗号化方式を確認する: Wi-Fiの接続設定で、「WPA2」や「WPA3」といった、より安全な暗号化方式が設定されているか確認しましょう。設定方法が分からない場合は、ご利用のルーターのマニュアルを確認するか、通信事業者に問い合わせてみてください。
困ったときは一人で抱え込まずに相談しましょう
情報セキュリティに関して、少しでも不安なことや分からないことが出てきたら、一人で解決しようとせず、会社の情報システム部門や上司に相談しましょう。会社にはセキュリティに関する専門知識を持った担当者がいますし、困ったときのサポート体制が整っているはずです。
まとめ
リモートワークにおける情報セキュリティは、決して難しいことばかりではありません。今回ご紹介したような基本的な対策を日々の業務の中で少しずつ意識し、実践していくことが大切です。
- パスワードを強化し、使い回ししない
- 二段階認証を設定する
- OSやソフトウェアを最新にする
- 怪しいメールやサイトに注意する
- 会社のルールを守り、情報を適切に扱う
- 自宅のWi-Fi環境を確認する
これらの基本的な対策を習慣にすることで、リモートワークをより安心して、そして効率的に行うことができるようになります。大切な情報と自分自身を守りながら、新しい働き方に対応していきましょう。