リモートワーク時代の社内アンケート デジタルツールで簡単に意見を集める方法
はじめに:リモートワークにおける社内アンケートの課題
パンデミック以降、多くの企業でリモートワークが導入され、働き方は大きく変化しました。このような状況下で、従業員の意見や状況を把握するための社内アンケートはより重要になっています。しかし、これまでの紙ベースのアンケートや、メールで回答を集めて手作業で集計する方法では、リモートワーク環境では限界があります。
- 配布と回収の手間: リモートワーカーへの紙の配布は難しく、メールでの配布も添付ファイルの管理や回答の追跡に手間がかかります。
- 集計作業の負担: 回答用紙やメールの集計は時間と労力がかかる作業です。特に自由記述式の回答が多い場合、集計は一層複雑になります。
- 回答率の低下: 回答方法が煩雑だと、従業員の回答意欲が低下する可能性があります。
- コスト: 用紙の印刷費用や郵送費用などがかかる場合があります。
これらの課題を解決し、リモートワーク環境でもスムーズに従業員の意見を収集する方法として、デジタルツールの活用が有効です。
デジタルツールで社内アンケートを実施するメリット
デジタルツールを活用することで、社内アンケートのプロセスを劇的に効率化し、より質の高い情報を得ることが可能になります。
- 配布が容易: リンクを共有するだけで、従業員は自宅から簡単にアクセスして回答できます。メール、ビジネスチャット、社内ポータルなど、多様な方法で配布できます。
- 回答の負担軽減: スマートフォンやパソコンから、いつでも好きな時間に回答できます。プルダウン形式や選択式など、直感的な操作で回答を進められるため、回答者の負担が減ります。
- 自動集計機能: 回答が自動的に集計され、グラフなどで視覚的に表示されるツールが多く存在します。これにより、手作業での集計ミスを防ぎ、結果を迅速に分析できます。
- コスト削減: 用紙や印刷、郵送にかかる物理的なコストを削減できます。
- 回答率の向上: 手軽に回答できることに加え、回答状況の確認やリマインダーの送信も容易なため、回答率の向上につながります。
どんなデジタルツールがあるか
社内アンケートに活用できるデジタルツールは数多く存在します。ここでは、比較的簡単に始められる代表的なツールをご紹介します。多くの企業で既に利用されている可能性のある、無料または低コストで使えるツールを中心に考えます。
- Googleフォーム: Googleアカウントがあれば無料で利用できます。直感的な操作でアンケートフォームを作成でき、回答はGoogleスプレッドシートに自動的にまとめられます。設問形式も豊富で、簡易的なアンケートであれば十分に活用できます。
- Microsoft Forms: Microsoft 365を導入している企業であれば、追加費用なしで利用できることが多いツールです。こちらも簡単な操作でフォームを作成でき、回答はExcelにエクスポートしたり、ツール上で自動集計結果を確認したりできます。Googleフォームと同様に、基本的なアンケートに適しています。
これらのツール以外にも、より高機能な有料のアンケート専門ツールも存在しますが、まずはGoogleフォームやMicrosoft Formsのようなツールから試してみるのが良いでしょう。
デジタルツールでのアンケート作成・実施の流れ(概要)
デジタルツールを使って社内アンケートを実施する際の、一般的な流れを解説します。
- 目的の明確化と設問の設計:
- 何のためにアンケートを実施するのか(例: リモートワークにおける課題の把握、従業員満足度の調査など)を明確にします。
- 目的に沿った設問を作成します。回答しやすいように、設問数は必要最小限に絞り、専門用語は避けるなどの配慮が必要です。
- ツールの選定とフォームの作成:
- 利用するツールを選び、実際にフォームを作成します。ツールの使い方に合わせて、設問の入力や回答形式(選択式、自由記述など)の設定を行います。
- 必要に応じて、デザインを調整したり、説明文を追加したりします。
- 配布:
- 作成したフォームのリンクを、対象となる従業員に共有します。メールや社内チャットツールなど、従業員が普段利用している連絡手段を使います。
- 回答期限や、アンケートを実施する目的などを併記すると、回答率向上につながります。
- 回答期間中の管理:
- 回答状況をツール上で確認できます。回答が進んでいない場合は、リマインダーを送信することも可能です。
- 集計と分析:
- 設定した回答期限が過ぎたら、回答をツール上で集計します。多くのツールでは自動集計機能が利用できます。
- 集計結果を基に、アンケートで何が分かったのか、どのような対策が必要なのかを分析します。
- 結果の共有と活用:
- 分析結果を関係部署や経営層と共有します。必要に応じて、従業員全体にフィードバックすることも検討します。得られた知見を、今後の施策や改善活動に活かします。
ツール選びのポイント
どのデジタルツールを選ぶかは、アンケートの目的や規模、既存の社内システムなどによって異なります。
- 導入のしやすさ: 現在利用しているMicrosoft 365やGoogle Workspaceに含まれているツールであれば、新たに導入する手間がなく、従業員も使い慣れている可能性が高いです。
- 必要な機能: 設問形式の種類、回答数の上限、集計・分析機能、デザインの自由度など、アンケートに必要な機能が備わっているか確認します。
- セキュリティ: 回答データがどのように扱われるか、アクセス権限の設定は可能かなど、セキュリティ面も重要な検討事項です。
- コスト: 無料ツールか有料ツールか、有料の場合は必要な機能に対して費用が見合うかなどを比較します。
セキュリティへの考慮
社内アンケートでは、従業員の個人情報や、企業に関する機密情報が含まれる可能性もあります。デジタルツールを利用する際には、セキュリティについて十分に配慮する必要があります。
- アクセス制限: アンケートの作成者や回答結果を閲覧できる人を限定できるか確認します。
- データの保管場所: 回答データがどこに保管されるのか、安全な環境で管理されるのかを確認します。信頼できるクラウドサービスを選ぶことが重要です。
- 匿名設定: 従業員が安心して回答できるよう、必要に応じて匿名での回答を可能にする設定を行います。ただし、匿名にすると個別のフォローアップなどが難しくなる場合もあるため、アンケートの目的に合わせて適切に設定します。
まとめ
リモートワークが定着した現代において、社内アンケートは従業員の状況や意見を把握し、組織運営に活かすための重要な手段です。紙や手作業でのアンケートには限界がありますが、デジタルツールを活用することで、配布・回収・集計の効率を大幅に向上させることができます。
GoogleフォームやMicrosoft Formsのような、比較的容易に始められるツールから試してみることで、デジタルアンケートのメリットを実感できるでしょう。ツールの選定や設定においては、機能性はもちろんのこと、セキュリティ面にも十分配慮することが大切です。
デジタルツールを効果的に活用し、リモートワーク環境下でのスムーズな情報収集と、より良い組織づくりに役立てていただければ幸いです。