リモートワーク対応 大切なファイルを安全に整理・共有 オンラインストレージの基本
はじめに
パンデミック以降、多くの企業でリモートワークが導入され、働く場所や時間の柔軟性が増しました。しかし、オフィスで当たり前に行っていた紙の書類の受け渡しや、社内ネットワーク上のファイルサーバーへのアクセスが難しくなり、ファイル管理に課題を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
- 「必要なファイルがどこにあるか分からない」
- 「同僚とファイルを共有するのが手間がかかる」
- 「自宅から会社のファイルに安全にアクセスできるのか不安だ」
こうした課題を解決するデジタルツールの一つに、「オンラインストレージ」があります。本記事では、オンラインストレージとは何かという基本的な部分から、リモートワークで安全に活用するための方法について、デジタルツールに不慣れな方にも分かりやすくご説明します。
オンラインストレージとは
オンラインストレージとは、インターネット上に存在する「データの保管場所」のことです。パソコンやスマートフォンの内部にある記憶領域(ハードディスクやSSDなど)とは異なり、インターネット経由でアクセスできるサーバーにファイルを保管します。
例えるなら、オフィスにある「共有の書庫」や「貸金庫」のようなものです。ただし、それがインターネット上の空間にあり、どこからでもインターネットにつながっていればアクセスできる点が大きな違いです。
オンラインストレージは、一般的に「クラウドストレージ」とも呼ばれます。「クラウド」とは、インターネットを通じて提供される様々なサービスを指す言葉であり、オンラインストレージはその代表的なサービスの一つです。
リモートワークにおけるオンラインストレージの利点
オンラインストレージをリモートワークで活用することには、多くの利点があります。
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場所を選ばずにファイルにアクセスできる インターネット環境さえあれば、自宅、サテライトオフィス、出張先など、場所を問わずに会社のファイルにアクセスできます。これにより、オフィスにいなくても業務を進めることが可能になります。
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チームでのファイル共有が容易になる メールに重いファイルを添付したり、USBメモリでやり取りしたりする必要がなくなります。オンラインストレージにファイルを置けば、他のメンバーと簡単に共有できます。アクセス権限を設定することで、「見るだけ」「編集も可能」といった制御も可能です。
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ファイルのバックアップになる パソコンやスマートフォンが故障したり紛失したりしても、オンラインストレージに保管しておけばファイルが失われるリスクを減らせます。自動的に同期する設定にしておけば、常に最新のファイルがクラウド上に保存されます。
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セキュリティ機能が提供されている 多くのオンラインストレージサービスでは、不正アクセスを防ぐための暗号化や、ログイン時の本人確認を強化する二段階認証などのセキュリティ対策が講じられています。適切に利用することで、ファイルの安全性を高めることができます。
オンラインストレージの基本的な使い方
ここでは、オンラインストレージの一般的な使い方についてご説明します。具体的なサービスの画面操作は異なりますが、基本的な考え方は共通しています。
1. ファイルやフォルダのアップロード
パソコンやスマートフォンにあるファイルをオンラインストレージに保管することを「アップロード」と呼びます。
- 手順の概要:
- オンラインストレージのウェブサイトを開くか、専用のアプリを起動します。
- ファイルを保管したい場所(フォルダ)を選択します。
- アップロード機能(ボタンやメニュー)を選択し、パソコン等からファイルを選びます。
- または、パソコンの画面からファイルをオンラインストレージの画面にドラッグ&ドロップ(マウスでファイルをつかんで移動させる操作)するだけでアップロードできる場合もあります。
これで、ファイルがオンラインストレージにコピーされ、インターネット経由でアクセスできるようになります。
2. ファイルやフォルダのダウンロード
オンラインストレージに保管されているファイルを自分のパソコンやスマートフォンにコピーすることを「ダウンロード」と呼びます。
- 手順の概要:
- オンラインストレージのウェブサイトまたはアプリを開きます。
- ダウンロードしたいファイルまたはフォルダを探します。
- ファイルを選択し、ダウンロード機能を選択します。
これで、ファイルがご自身の端末に保存され、オフラインでも作業できるようになります。
3. ファイルやフォルダの整理
ファイルが増えてくると、どこに何があるか分かりにくくなります。オフィスでのファイリングと同じように、オンラインストレージでもフォルダを作成してファイルを分類・整理することが大切です。
- 整理のヒント:
- プロジェクトごと、部署ごと、または日付などでフォルダを作成する。
- フォルダやファイル名に、内容が分かりやすい名前をつける。
- 定期的に不要なファイルを削除する。
整理された状態を保つことで、自分だけでなく共有した他のメンバーも目的のファイルを見つけやすくなります。
4. チームメンバーとのファイル共有
オンラインストレージの最も便利な機能の一つがファイル共有です。
- 手順の概要:
- 共有したいファイルまたはフォルダを選択します。
- 共有機能(ボタンやメニュー)を選択します。
- 共有したい相手のメールアドレスを入力するか、共有用の「リンク」を作成します。
- 重要なポイント: 共有する相手に対してどのような操作を許可するか(閲覧のみ、編集も可能など)の「アクセス権限」を設定します。
共有リンクで共有する場合、リンクを知っている人なら誰でもアクセスできてしまう設定になっていることもあるため、特に機密性の高いファイルの場合は、特定の相手にだけアクセス権限を与える設定にするなど、注意が必要です。
セキュリティ上の注意点
オンラインストレージは便利ですが、適切に管理しないと情報漏洩のリスクも伴います。以下の点に注意しましょう。
- パスワード管理: サービスへのログインパスワードは、推測されにくい複雑なものに設定し、使い回しは避けましょう。
- 二段階認証の設定: ログイン時にパスワードだけでなく、スマートフォンへのコード送信など、複数の方法で本人確認を行う「二段階認証」が提供されている場合は、必ず設定しましょう。これにより、万が一パスワードが漏れても不正ログインを防ぐ可能性が高まります。
- 共有設定の確認: ファイルやフォルダを共有する際は、意図しない相手に共有されていないか、また必要以上に強い権限(編集権限など)を与えていないか、都度確認しましょう。共有が不要になったら、共有設定を解除することも忘れずに行いましょう。
- 不審なファイルやリンクに注意: 見慣れない相手からの共有通知や、内容が不明なファイルのリンクには安易にアクセスしないようにしましょう。
まとめ
オンラインストレージは、リモートワークにおけるファイル管理やチーム内の情報共有を効率的かつ安全に進めるための有効なデジタルツールです。インターネット上の倉庫としてファイルを保管し、場所を選ばずにアクセスしたり、簡単に共有したりすることが可能になります。
導入にあたっては、基本的な使い方を理解し、特にアクセス権限の設定や二段階認証の活用といったセキュリティ対策に十分注意を払うことが重要です。
まずは小規模なチームや特定のプロジェクトでの利用から始めてみるなど、段階的に活用を進めることをお勧めします。オンラインストレージを適切に使いこなすことで、リモートワークでの業務がよりスムーズになるはずです。