リモート会議で役立つ オンラインホワイトボードを使った意見交換と情報整理
パンデミック以降、多くの企業でリモートワークが導入され、働き方が大きく変わりました。オフィスに集まっていた頃には当たり前だった会議や情報共有の方法も、オンラインでの実施が中心となり、新たな課題も生まれています。その一つに、複数人で同時にアイデアを出し合ったり、議論の内容を整理したりすることが挙げられます。
対面での会議であれば、ホワイトボードに自由に書き込んだり、付箋を貼って情報を整理したりといった方法がありました。しかし、オンライン会議ではそれが難しく、画面共有だけでは活発な意見交換や共同での情報整理がしにくいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
このような課題を解決するのに役立つデジタルツールが、「オンラインホワイトボード」です。本記事では、デジタルツールの活用に不慣れな方に向けて、オンラインホワイトボードがどのようなツールで、どのようにリモートワークでの会議やチームでの情報整理に活用できるのかを解説します。
オンラインホワイトボードとは
オンラインホワイトボードは、その名の通り、インターネット上で利用できる「仮想のホワイトボード」です。パソコンやタブレットの画面を通じて、複数人が同時にアクセスし、まるで実際のホワイトボードを使うように、自由に文字を書いたり、図形を描いたり、色分けされた付箋(ふせん)を貼ったりすることができます。
主な機能としては、以下のようなものが一般的です。
- テキスト入力・編集: 文字を打ち込んでアイデアや情報を記述します。付箋のように表示させる機能もあります。
- 図形描画: 四角、丸、矢印などを描いて、関係性を示したり、フローを表現したりします。
- 手書き入力: マウスやペンタブレットを使って、手書きで文字や絵を描きます。
- 画像・ファイル添付: パソコン内の画像やPDFファイルなどをボード上に貼り付け、参照しながら議論できます。
- 共同編集: 招待したチームメンバーが同時に同じボードにアクセスし、リアルタイムで内容を編集できます。
- ズーム機能: ボード全体を見渡したり、特定の部分を拡大して詳細を確認したりできます。
- エクスポート機能: 作成したボードの内容を画像ファイルやPDFファイルとして保存し、議事録や記録として共有できます。
リモートワークでのオンラインホワイトボード活用シーン
オンラインホワイトボードは、リモートワークにおける様々な共同作業で役立ちます。特に以下のようなシーンで効果を発揮します。
アイデア出し・ブレインストーミング
複数人で自由にアイデアを出し合う「ブレインストーミング」は、リモート会議では難しくなりがちです。オンラインホワイトボードを使えば、参加者それぞれが付箋を貼るようにアイデアを書き込み、ボード上に集約できます。これにより、全員の意見が見える化され、議論を活性化させることができます。後から似たアイデアをまとめたり、関連するアイデアを線で繋いだりすることも容易です。
議論内容の整理・可視化
会議中に飛び交う様々な意見や情報を、オンラインホワイトボード上にリアルタイムで整理しながら進めることができます。例えば、議題ごとにエリアを分けたり、賛成意見と反対意見を色分けしたりすることで、議論の構造が明確になり、参加者全員が共通認識を持ちやすくなります。フローチャートやマインドマップ(中心となるキーワードから関連する情報を枝状に広げて整理する手法)のような形で情報を整理することも可能です。
プロセスや計画の共有
業務の作業手順やプロジェクトの計画を、図や矢印を使ってオンラインホワイトボード上に描き出すことで、チームメンバー全体の理解を助けます。文字だけの説明よりも視覚的に捉えやすいため、認識のずれを防ぎ、円滑な情報共有に繋がります。
オンラインホワイトボードの基本的な使い方(初心者向け)
ここでは、多くのオンラインホワイトボードツールに共通する基本的な操作方法をご紹介します。特定のツールによって画面の構成やボタンの名称は異なりますが、考え方は共通しています。
1. 新しいボードを作成する
まずは新しい「ボード」、つまり作業スペースを作成します。ツールによっては「ワークスペース」や「キャンバス」などと呼ばれることもあります。 * ツールにログイン後、「新しいボードを作成」「Create new board」などのボタンをクリックします。 * ボードのタイトルや説明を入力します。 * テンプレートを選択できる場合は、用途(ブレインストーミング、会議議事録、フローチャートなど)に合ったテンプレートを選ぶと、最初からある程度の形が整っていて便利です。白紙の状態から始めることもできます。
2. テキストや図形を追加する
作成したボードに、アイデアや情報を書き込んでいきます。 * テキスト(付箋): ツールバーにある「テキスト」「付箋」「Sticky note」などのアイコンをクリックし、ボード上の書き込みたい場所をクリックします。文字入力用の枠が表示されるので、そこに内容を入力します。色の変更や文字サイズの調整も可能です。 * 図形: ツールバーにある「図形」「Shape」などのアイコンをクリックし、四角や丸、線、矢印などを選択します。ボード上でドラッグすると、選択した図形を描画できます。図形の色や線の太さなどを変更することも可能です。 * 手書き: ツールバーにある「ペン」「Drawing」などのアイコンを選択すると、フリーハンドで線を描けます。ちょっとしたイラストやメモ、強調などに使えます。
3. 要素を編集・移動・削除する
ボード上に追加したテキストや図形などの要素は、後からいつでも編集したり、場所を移動したり、不要なものを削除したりできます。 * 編集したい要素をクリックして選択します。 * 選択した状態で表示されるメニューから、内容の変更(テキスト)、色の変更、サイズの変更などを行います。 * 要素を選択した状態でドラッグすると、好きな場所に移動できます。 * 要素を選択し、「Delete」キーを押すか、表示されるメニューにある「削除」アイコンをクリックすると、その要素を削除できます。
4. チームメンバーと共同編集する
オンラインホワイトボードの最大の特長は、複数人で同時に編集できることです。 * 作成したボードを他のメンバーと共有するには、通常「共有」「Share」「Invite」などのボタンを使用します。 * 共有方法としては、特定のメンバーのメールアドレスを入力して招待する方法や、ボードへのリンク(URL)を生成してメンバーに知らせる方法などがあります。 * 招待する際に、そのメンバーに「閲覧だけを許可する」「編集を許可する」といった権限を設定できるツールもあります。チームで一緒に作業する場合は、「編集を許可する」を選択します。 * 招待されたメンバーがボードにアクセスすると、お互いがリアルタイムでボードを編集している様子を確認できるようになります。
5. ボードを保存・共有する
作成したボードは通常、自動的にツール上に保存されますが、会議の記録として残したり、オフラインで確認したりするために、エクスポートする機能があります。 * ツール内の「ファイル」「Export」「ダウンロード」などのメニューから、保存形式(画像ファイル、PDFなど)を選択してダウンロードします。 * 共同編集したボードを他の関係者(会議に参加していないメンバーなど)と共有したい場合は、エクスポートしたファイルをメールや共有フォルダで送る方法や、ツール上で共有設定を維持したままURLを伝える方法などがあります。
利用上の注意点
オンラインホワイトボードを効果的に活用するためには、いくつか注意しておきたい点があります。
- 事前にルールを決める: 複数人で同時に編集するため、どこに何を書き込むか、色の使い分けなど、基本的なルールを事前に決めておくと、ボードが煩雑になるのを防ぎ、情報を整理しやすくなります。
- 操作に慣れる: 最初はマウス操作などに戸惑うこともあるかもしれません。本格的な会議で使用する前に、チーム内で試したり、個人で練習したりして、基本的な操作に慣れておくことをお勧めします。
- セキュリティ: 共有するボードの内容に機密情報が含まれていないか確認し、共有範囲の設定を適切に行うことが重要です。
まとめ
オンラインホワイトボードは、リモートワークによって失われがちな対面での自由なアイデア交換や、視覚的な情報共有・整理を可能にする強力なツールです。最初はツールの操作に少し慣れが必要かもしれませんが、基本的な使い方をマスターすれば、リモート会議やチームでの共同作業がよりスムーズで生産的なものになるでしょう。
ぜひ、チームでの情報共有や意見交換にオンラインホワイトボードの導入を検討してみてはいかがでしょうか。